前回は、開発仕様書によって「何を実現するのか」を明確にし、FMEAによって「どのようなリスクがあるのか」を整理しました。
詳細設計では、それらを具体的な設計へ落とし込みます。
そして、その設計が本当に妥当なのかを確認する重要な工程が設計レビューです。
設計レビューとは
設計レビューとは、設計内容が開発仕様を満足し、技術的な問題がないことを確認するためのレビューです。
しかし、レビューで確認するのはCAD図面そのものではありません。
重要なのは、
•開発仕様をどのような設計で実現したのか
•FMEAで抽出したリスクへどのような対策を行ったのか
•その設計に技術的な根拠があるのか
という設計の妥当性です。
設計レビューの確認ポイント
設計レビューでは、必ず確認すべき観点があります。
① 開発仕様への対応
まず確認するのは、開発仕様書です。
要求された性能仕様を、どのような構造・機構・制御によって実現したのか。
仕様と設計が正しく結び付いているかを確認します。
② FMEAへの対応
次に確認するのは、FMEAで抽出したリスクです。
抽出したリスクに対して、どのような設計対策を行ったのか。
設計へ確実に反映されているかを確認します。
③ 技術的根拠
設計は経験や勘だけで判断するものではありません。
必要に応じて、
設計計算
シミュレーション
各種解析
などによって設計の妥当性を確認します。
レビューでは、それらの結果を根拠として説明することが重要です。
優秀な設計者のレビュー
優秀な設計者ほど、最初からCAD図面を説明しません。
まず、
•今回対応した開発課題
•新規設計・変更ポイント
•開発仕様への対応
•FMEAへの対応
•設計計算・シミュレーション結果
を整理して説明します。
その後にCAD図面を用いて、
「どのように実現したのか」
を説明します。
つまり、図面を説明しているのではなく、課題に対する解決策を説明しているのです。
形骸化した設計レビュー
一方で、形だけの設計レビューも少なくありません。
CAD図面を映しながら、
「このように設計しました。」
「質問ありませんか。」
という説明だけで終わってしまうレビューです。
質問に回答できればレビュー終了。
これでは、
•開発仕様への対応
•リスク対策
•設計の妥当性
という、本来議論すべき内容が十分に確認されません。
その結果、評価工程で問題が発覚し、大きな手戻りにつながることがあります。
このような課題はありませんか?
設計レビューは実施しているものの、
•CAD図面の説明だけで終わってしまう
•レビューの観点が担当者によって異なる
•開発仕様書やFMEAとのつながりが十分に議論されていない
•指摘事項が評価工程で初めて見つかり、大きな手戻りが発生する
•レビュー時間は長いのに、設計品質の向上につながっていない
このような状況は、多くの開発現場で見受けられます。
設計レビューは、単なる図面確認ではありません。
開発仕様をどのように実現し、リスクにどのように対策したのかを議論し、設計品質を高めるための重要な工程です。
レビューの進め方が変わるだけで、手戻りの削減や設計品質の向上につながるケースも少なくありません。
設計レビューのレベルは、その会社の開発レベルを映す鏡です。
開発プロセスや設計レビューの改善についてお悩みがありましたら、35年間の半導体製造装置開発で培った実践経験をもとに、課題整理からレビュー手法の改善までご支援いたします。
本質
設計レビューで確認するのは図面ではありません。
開発仕様をどのように実現し、リスクへどのように対策したのか、その設計思想と技術的根拠です。
CAD図面は、その内容を説明するための資料に過ぎません。
まとめ
設計レビューとは、設計品質を確認するための重要な工程です。
開発仕様への対応、FMEAへの対応、そして設計計算やシミュレーションによる技術的根拠を確認することで、設計品質は大きく向上します。
レビューとは、図面を見ることではありません。
設計の妥当性を議論し、より良い設計へ改善するための場なのです。
金言>
設計レビューは説明会ではない。
課題に対する設計の妥当性を議論する場である。