【実践知 開発編】⑧ FMEAの本当の使い方

前回、開発仕様書によって「何を実現するのか」を明確にしました。

詳細設計では、その仕様を実現するための設計を進めます。

しかし、設計が完成しただけでは品質は保証できません。

市場トラブルを未然に防ぐためには、設計段階でリスクを洗い出し、対策を講じることが重要です。

その代表的な手法がFMEAです。

FMEAとは

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)とは、

製品や装置に発生する可能性のある故障モードを事前に洗い出し、その影響や発生頻度などを評価し、リスクの高い項目から対策を行う手法です。

つまり、

市場トラブルを開発段階で予測し、未然に防ぐ活動です。

そのため、FMEAは詳細設計が進み、構造や機能が具体化した段階で実施します。

本当に重要なのは故障モードの抽出

FMEAでは、

故障モードを抽出する

リスクを評価する

対策する

再評価する という流れで進めます。

しかし、私が最も重要だと考えているのは、リスク評価ではありません。

故障モードをどれだけ漏れなく抽出できるかです。

故障モードを抽出できなければ、評価もできません。

対策もできません。市場トラブルを防ぐこともできません。

つまり、FMEAの品質は、故障モード抽出の精度によって決まります。

新規開発ではFTAを活用する

改善設計では変更点が明確なため、故障モードの抽出は比較的容易です。

しかし、新規開発では、どこにリスクが潜んでいるのかを把握することが難しくなります。

そのような場合、私は**FTA(Fault Tree Analysis:故障の原因を系統的に展開・分析する手法)**を活用していました。

FTAは本来、発生したトラブルの原因を解析するための手法として広く使われています。

しかし私は、製品や装置の機能を分解・整理するためのツールとして活用していました。

機能を一つひとつ展開することで、

「この機能には、どのようなリスクがあるのか」

という視点で考えることができます。

そして、その機能ごとのリスク因子をFMEAへ展開することで、故障モードの抽出漏れを減らすことができます。

実践知

私は、FMEAで最も重要なのは点数を付けることではないと考えています。

重要なのは、

設計者自身が「どのような故障が起こり得るのか」を徹底的に考え抜くことです。

そのためには、一人で考えるだけでは限界があります。

設計レビューや経験者との議論を通じて、多角的な視点から故障モードを洗い出すことが重要です。

故障モードの抽出精度が高まれば、市場トラブルのリスクは大きく低減します。

まとめ

FMEAとは、品質書類ではありません。

市場トラブルを未然に防ぐために、設計段階でリスクを洗い出し、対策を講じるための重要な活動です。

また、新規開発ではFTAを活用して機能を整理し、その機能ごとのリスク因子をFMEAへ展開することで、故障モードの抽出精度を高めることができます。

設計品質は、リスクをどれだけ事前に予測し、対策できるかによって大きく変わるのです。

本質

FMEAは評価表ではない。
リスクを考え抜くための設計活動である。

金言>

FMEAは、点数を付ける仕事ではない。
故障モードを見つける仕事である。

次回は、

設計レビューは説明会ではないというテーマで、設計品質を高めるレビューの進め方について説明します。

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