仕事では、「原因が分かりました。」
という報告をよく耳にします。
しかし、その内容を確認すると、
原因ではなく、推測で終わっていることが少なくありません。
私は、本質を見抜くためには、事実(Fact)と推測を明確に区別することが極めて重要だと考えています。
例えば、「装置が停止した。」これは事実です。
調査すると、「○○部品が壊れていた。」
これも事実です。しかし、「○○部品が壊れたことが原因である。」
これは、まだ推測です。
部品が壊れていたという事実と、部品が原因であるという結論は、全く別の話です。
私は次に、
「その仮説で、今回のトラブルを説明できるか。」を考えます。
その部品が壊れたことで、今回の停止現象は本当に起こるのか。
正常時との違いは説明できるのか。現象が発生するまでの流れに矛盾はないのか。
つまり、一つのストーリーとして成立するか。
ここを検証します。
ストーリーに無理があるなら、その仮説は真因ではありません。
別の仮説を考える必要があります。
現場では、事実から複数の仮説を立てます。
そして、その仮説を区別できる情報を集めます。
データを確認する。現物を見る。正常品と比較する。変化点を探す。
一つひとつ検証しながら、矛盾する仮説を消していきます。
最後まで矛盾なく現象を説明できたものが、真因になります。
経験を積んだ技術者ほど、この思考を自然に行っています。
トラブル現象を見た瞬間、複数の仮説が頭に浮かぶ。
その違いを見極めるために、現場で確認すべき情報を矢継ぎ早に集める。
だから、短時間で真因へたどり着くことができます。
Fishboneや5Whyを書かなくても、 頭の中では同じ思考プロセスが回っているのです。
一方で、
関係者へ説明したり、情報を整理したりする場面では、Fishboneなどのツールも有効です。
大切なのは、ツールを使うことではなく、本質を理解して使うことです。
このようなお悩みはありませんか?
現場では、
•部品交換しても再発する。
•原因が分かったと思ったら再発した。
•会議で推測ばかりが議論される。 真因解析が思い込みで進んでしまう。
このような場合、事実と推測が混同されている可能性があります。
私は、まず事実を整理し、
複数の仮説を立て、現場で一つずつ検証しながら真因へたどり着くことを大切にしています。
金言>事実は現象を示す。真因は現象を説明する。
事実だけでは原因は分かりません。
推測だけでは真因にはなりません。
事実に基づいて仮説を立て、検証し、現象を矛盾なく説明できた時、その仮説は真因になります。
私は、この思考プロセスこそが、本質を見る力につながると考えています。