― 市場を知る部門を、開発の「当事者」にする
ここまで、装置のUp Time向上について、
Up Timeの全体像を把握する
PM・MTTR・MTBFへ改善バジェットを設定する
PM時間を減らす
MTTRを短縮する
MTBFを伸ばす
という流れでご紹介してきました。
これらを実際の開発活動として進めるうえで、欠かせない存在があります。
サービス部門です。
市場で装置を最もよく見ているのは、日々お客様の装置に向き合っているサービス部門です。
しかし、サービス部門がプロジェクトに参加し、市場情報を共有するだけでは十分ではありません。
重要なのは、
Up Time目標を達成する「当事者」として、開発初期から参画すること。
これもフロントローディングです。
■ プロジェクトに参加するだけでは意味がない
新規装置開発には、設計だけでなく、製造、品質、サービスなど多くの部門が参加します。
しかし、
「プロジェクトメンバーとして参加している」ことと、
「自分たちのMissionを持って参画している」ことは違います。
Missionがないまま、情報共有のために参加する。
聞かれたことに答える。
問題があれば意見を言う。
これだけでは、当事者としての参画とは言えません。
プロジェクトに参加する以上、それぞれの部門には役割があります。
製造部門であれば、
どうすれば作りやすく、安定した品質で生産できる装置にするのか。
*製造編において 製造もフロントローディングご紹介しました
リンク;製造のフロントローディング
サービス部門であれば、
どうすれば市場で安定して稼働し、停止しても早く復旧できる装置にするのか。
情報を提供して終わるのではなく、自分たちの専門領域について目標を持ち、その達成に責任を持つ。
これがプロジェクト参画だと考えています。
■ サービス部門だからこそ見えることがある
PM・MTTR・MTBFを改善しようとすると、市場の実態を知らなければ進みません。
例えば、
実際のPMはどう行われているのか。
規定周期と市場実態に差はないか。
どの故障が多いのか。
どの修復に時間がかかっているのか。
お客様が何に困っているのか。
こうした情報を最も持っているのがサービス部門です。
⑳~㉒でご紹介した改善も、こうした市場の事実が出発点になります。
その市場知見を開発後半になって聞くのではなく、開発初期から取り込む。
これがサービス部門のフロントローディングです。
■ 最初から簡単にできたわけではない
私が最初にプロジェクトリーダーを担当した時、このUp Time領域については、サービス部門にリーダーをお願いしました。
市場を最も知る部門だからです。
しかし実際に進めてみると、PM・MTTR・MTBFの数値を整理するだけではありませんでした。
その目標をどう設定するのか。
どのGapをどの施策で埋めるのか。
さらに、設計変更や耐久性など技術・設計面での判断も必要になります。
そこで当初は、私自身がこの領域のリーダーを兼任し、サービス部門と一緒に進めました。
Up TimeをPM・MTTR・MTBFへ分解し、数値ロジックをつくり、改善の方向性を決める。
その活動を実際の開発プロジェクトの中で進めました。
■ そして、サービス部門がリードする活動へ
一度仕組みができれば、次からは変わります。
何を確認するのか。
どのように目標を設定するのか。
市場実績をどう分析するのか。
技術部門と何を議論するのか。
活動の進め方が見えてきます。
その後は、サービス部門がこの領域をリードすることが慣例化していきました。
これは単に役割をサービス部門へ移したということではありません。
市場対応を行う部門から、市場知見を使って新しい装置を作り込む部門へ。
役割そのものが変わったということです。
■ 開発・製造・サービスを一つのプロジェクトにする
装置開発は、設計部門だけで完成するものではありません。
製造部門が開発初期から入り、製造性・品質・生産性を作り込む。
サービス部門も開発初期から入り、PM性・修復性・信頼性を作り込む。
そして、それぞれが単なる参加者ではなく、自分たちの領域の当事者として目標を持つ。
これによって、
戦略 → 開発 → 製造 → 評価 → 市場対応
が一つにつながります。
市場で問題が起きてから対応するのではなく、市場で起こることを開発段階から考える。
これが、私が実際のプロジェクト運営を通じて学んだフロントローディングの考え方です。
■ Up Timeは、サービス部門だけの仕事ではない
Up Timeは市場で現れる結果です。
しかし、その結果を決める多くの要素は、開発段階で作り込まれています。
だからこそ、
市場を知るサービス部門と、装置をつくる技術・設計部門が、開発初期から同じ目標に向かう。
PM・MTTR・MTBFという数字を共通言語にして、目標とのGapを具体的な施策へ変えていく。
それによって初めて、Up Time向上は「市場に出てからの改善活動」ではなく、新規装置開発そのものになります。
金言>プロジェクトに「参加する」だけでは、フロントローディングにはならない。
自らのMissionを持ち、目標達成の当事者になる。