製造工期を短縮するためには、作業を速くするだけではなく、**「本当に必要な工程なのか」**を見直すことも重要です。
大型の装置では、輸送や搬入の制約から、装置を複数のモジュールに分割して製作することがあります。
各モジュールを平行して製作し、モジュール単位で組立・調整・検査を行う。
これだけでも平行生産が可能となり、製造工期の短縮につながります。
しかし、さらに工程全体を見ていくと、もう一つ短縮できる可能性があります。
社内で一度ドッキングする必要はあるのか?
従来の製造では、各モジュールが完成した後、
モジュール製作
↓
モジュール単位で調整・検査
↓
社内でドッキング
↓
全体調整・検査
↓
輸送のため再びモジュールに分割
↓
出荷
↓
顧客先で再ドッキング・調整という工程になります。
品質を確認するという意味では、非常に確実な方法です。
しかし、工期という観点から工程を眺めてみると、
社内でドッキング→ 再び分割→ 顧客先で再ドッキングという工程が存在します。
顧客先でのスタートアップ時には、いずれにしても装置をドッキングし、調整する必要があります。
そこで、「社内で行っているドッキング・調整は、本当に毎回必要なのか?」と考えます。
モジュールアウトという考え方
各モジュール単位で品質を保証できるのであれば、社内では装置全体をドッキングせず、モジュールの状態でそのまま出荷することができます。
これが、ここでいう**モジュールアウト(Module Out)**です。
工程は、モジュール製作→モジュール単位で調整・検査→そのまま出荷
顧客先でドッキング・最終調整となります。
従来行っていた、社内ドッキング → 全体調整 → 再分割
という工程を省くことができ、製造工期を短縮できます。

何でもモジュールアウトすればよいわけではない
ここで重要なのが品質保証です。
工期を短縮したいからといって、必要な検証まで省いてはいけません。
モジュールアウトを適用しやすいのは、基本的にリピート仕様です。
過去の製造・評価実績から、各モジュールの品質が保証され、モジュール間を接続した際の動作や性能についても十分な実績がある。
そのような装置であれば、社内で毎回同じドッキング・全体検査を繰り返す必要性を見直すことができます。
一方、新規仕様が含まれる場合は考え方が異なります。
新しい機構、新しい接続、新しい制御などが含まれていれば、モジュール単体では問題がなくても、モジュール間を接続したときに問題が発生する可能性があります。
この場合は、
社内でドッキング → 全体調整・検査 → 品質確認を行うべきです。
つまり、
リピート仕様 → モジュールアウトを検討
新規仕様あり → 社内ドッキング・検査を実施
と、品質リスクを見ながら使い分けます。
工期短縮とは「必要な工程を省く」ことではない
モジュールアウトの本質は、単なる工程省略ではありません。
⑤「平行生産」で工程を並列化し、⑥「最小機能部品」で小さな組立工程を減らしました。
そして⑦ではさらに、
工程全体を見渡して、同じ目的のために重複している工程をなくす。という考え方です。
品質保証に必要な工程は残す。
一方で、過去の実績によって品質を保証できるのであれば、同じ確認を毎回繰り返していないかを見直す。
これも製造工期短縮の重要な考え方です。
金言>省くのは品質確認ではない。
品質を保証した上で、重複工程を省く。