【実践知 序章】知識では人は変わらない。体感が人を変える。

25歳の私が教えてくれたこと

25歳の頃、私に大きな転機が訪れました。

当時、先輩や上司は優先案件への対応に追われ、担当者だった私が、主任クラスの仕事まで任されることになったのです。

毎月の残業は200時間近くになり、時間にも体力にも限界が見えてきました。

「これ以上 時間は増やせない。」

そう感じた時、初めて私は考え始めました。

どうすれば限られた時間で成果を出せるのか。

仕事を「Must」と「Want」に分け、本当に今やるべき仕事を優先する。

今やる必要のない仕事は、やる時期を決めて後回しにする。

さらに、一つひとつの仕事ではなく、案件全体の流れやストーリーを考えながら進めるようになりました。

今振り返ると、これが私の思考プロセスの原点でした。

その結果、新卒3年目だった私は、主任レベルの仕事をやり遂げることができました。

もちろん、知識が急に増えたわけではありません。

変わったのは、「考え方」です。

そして、この経験を通じて私は、一つのことを実感しました。

人を成長させるのは知識ではなく、体感である。

この経験が、その後 35年間の開発・製造・改善活動、そして現在のコンサルティングへとつながっています。

思想から実践知へ

ここまで私は、「思考」や「取り組み」についてお伝えしてきました。

なぜ開発は手戻りするのか。

なぜ組織は改善できないのか。

なぜ人は成長するのか。

その答えは、個々の手法ではなく、「思考プロセス」にあると考えています。

しかし、思想や考え方を理解しただけで、現場が変わるわけではありません。

本当に重要なのは、それを現場でどう実践するかです。

私は35年間、半導体製造装置の開発・製造・品質改善に携わり、多くの成功と失敗を経験してきました。

その中で学んだことは、書籍や研修で得た知識だけでは、本当の力にはならないということです。

現場で悩み、考え、失敗し、改善を繰り返す。その積み重ねによって初めて、自分自身の「実践知」となります。

この実践知編では、私が現場で経験してきた事例をもとに、

•開発では何を考えるべきか

•製造では何を大切にすべきか

•改善をどう定着させるのか

•企業文化をどう育てるのか

について、実際の経験を交えながらお伝えしていきます。

ここで紹介する内容は、特定企業だけに通用するノウハウではありません。

企業や製品が変わっても通用する、「ものづくりの本質」を整理したものです。

もちろん、ここに書かれていることを、そのまま実践すれば成果が出るというものではありません。

企業には、それぞれ異なる文化があり、製品があり、人がいます。

だからこそ大切なのは、手法を覚えることではなく、その背景にある本質を考える力です。

この実践知編が、皆様の現場で考えるきっかけとなり、それぞれの企業に合った改善につながれば幸いです。

最後に

知識は学ぶことができます。

しかし、実践知は、自ら考え、行動し、積み重ねた人だけが身につけられるものです。

本シリーズが、皆様の「考える力」を育てる一助となれば幸いです。

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