― 市場故障を分析し、故障リスクを開発段階で潰し込む
⑲では、目標Up Timeを実現するために、PM・MTTR・MTBFへ改善バジェットを設定する考え方をご紹介しました。
MTBFについても、まず⑲で設定した
現状MTBF → 目標MTBFのGapを確認することから始めます。
MTBF(Mean Time Between Failures)は、平均故障間隔です。
つまりMTBFを伸ばすとは、故障と故障の間隔を長くし、故障そのものを減らすことです。
そのためには、まず市場で実際に何が起きているのかを把握します。
■ まず、市場で何が故障しているのかを見る
市場で発生している故障について、
どのような故障アイテムがあるのか。
それぞれ何件発生しているのか。
どのくらいの頻度で発生しているのか。を整理します。
そして、市場実績から現状MTBFを把握します。
重要なのは、MTBFという平均値だけを見ることではありません。
市場故障をアイテム別に分析すると、
頻繁に発生している故障は何か。
特定の機構・部品に集中していないか。
同じ故障が繰り返されていないか。 といった実態が見えてきます。
■ 目標とのGapから、改善すべき故障アイテムを特定する
⑲で目標MTBFを設定していますので、
現状MTBF → 目標MTBFのGapは明確になっています。
では、そのGapを何によって埋めるのか。
市場故障をアイテム別に分析し、どの故障を減らせば、目標MTBFへ近づくのかを考えます。
平均値だけを見て、「MTBFを伸ばそう」では具体的な活動にはなりません。
故障アイテムまで分解することで、初めて改善すべき課題が見えてきます。
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■ 第一の施策――過去トラブルを再発させない
MTBFを伸ばすために、まず重要なのが、
既存装置で経験した故障を、新規装置で繰り返さないことです。
市場には、すでに多くの実績があります。
何が故障したのか。なぜ故障したのか。どのような対策を行ったのか。その対策は有効だったのか。
これらは、次の装置を開発するための重要な情報です。
そこで、
市場トラブル
→ 原因分析
→ 対策
→ 新規装置への反映
までつなげます。
市場で発生した問題を、その都度対処して終わらせるのではなく、次の装置では同じ問題を起こさない。
これがMTBF向上の基本です。
■ 第二の施策――新しいリスクを事前に潰す
しかし、過去トラブルを対策するだけでは十分ではありません。
新規装置では、
新しい機構、新しい部品、新しい構成、新しい使用条件などが加わります。
そこには、既存装置では経験していない新たな故障リスクがあります。
そこで、FMEAなどを活用し、
どこに故障リスクがあるのか。
故障した場合、どのような影響があるのか。
その原因は何か。
開発段階で何を対策しておくのか。
を事前に検討します。
つまり、
市場へ出してから故障を見つけるのではなく、市場へ出る前にリスクを想定し、潰し込む。
という考え方です。
■ 「過去」と「未来」の両面からMTBFを改善する
MTBFのGapを埋める施策は、大きく二つに整理できます。
過去を見る
市場で実際に発生した故障を分析し、再発させない。
そして、
未来を見る
新規設計によって生まれる故障リスクをFMEAなどで抽出し、事前に潰す。
つまり、
過去トラブルの再発防止
+
新規リスクの事前潰し込み
です。
この両方を行うことで、⑲で設定した目標MTBFとのGapを埋めていきます。
■ 市場の故障情報を、次の装置へ戻す
MTBF改善の流れを整理すると、
現状MTBFと目標MTBFのGapを確認する
↓
市場の故障アイテムを分析する
↓
MTBFを悪化させている課題を特定する
↓
過去トラブルの再発防止を行う
+
新規設計のリスクを事前に潰し込む
↓
新規装置へ反映する
となります。
市場で発生した故障は、単なるサービス部門のトラブル情報ではありません。
次の装置をより壊れにくくするための、重要な開発情報です。
これを開発初期から設計へ反映することも、Up Timeを作り込むフロントローディングです。
次回は、この一連のUp Time活動において重要となる、サービス部門の役割についてご紹介します。
金言>MTBFを伸ばすには、過去から学び、未来のリスクを先に潰す。
市場故障を次の設計へ戻してこそ、信頼性は高まる。