企業では、技術教育や専門知識の教育に力を入れている会社は少なくありません。
私が製造部門へ異動した当時も、装置勉強会や開発勉強会など、技術知識を高める教育は継続的に実施されていました。
しかし、それだけで組織は変わるでしょうか。
現場には、次のような受け身の意識が根付いていました。
•指示がなければ動かない
•他責になりやすい
•人任せ、担当任せになる
•改善提案が少ない 「なぜやるのか」という目的や価値を考えない
私は、その姿を見て一つの結論に至りました。
これは個人の問題ではなく、組織の文化になってしまっている。
意識や行動が文化として定着してしまうと、簡単には変わりません。
制度をつくる。
ルールを変える。
研修を増やす。
それだけでは、長年かけて形成された文化・風土を変えることはできません。
だからこそ、文化・風土改革は、企業にとって最も難しい課題の一つなのです。
しかし、私は本気で向き合えば変えられると考えました。
文化は自然には変わりません。
一人ひとりの考え方が変わり、その結果として行動が変わる。
その行動が積み重なることで、初めて組織の文化は変わっていきます。
もちろん、技術教育は重要です。
しかし、技術教育だけでは十分ではありません。
同じ教育を受けても、自ら考えて改善を続ける人もいれば、指示された範囲だけで仕事を終える人もいます。
私は、その違いは、**技術(Skill)だけではなく、自ら考え行動する意識(Will)**にあると考えました。
技術と意識は、車の両輪です。
どれほど高い技術力を身に付けても、自ら考え、主体的に行動する意識がなければ、その力は十分に発揮されません。
反対に、意欲があっても、必要な技術や知識がなければ、成果にはつながりません。
だからこそ、技術教育と同時に、一人ひとりの意識に向き合う必要があると考えました。
文化・風土改革とは、制度やルールだけを変えることではありません。
一人ひとりが、仕事の意味や価値を考え、自ら行動する組織へ変えていくことです。
しかし、人の意識は、一斉教育や上司からの指示だけでは変わりません。
そこで私は、一人ひとりと向き合いながら、思考プロセスを身に付けてもらう取り組みを始めました。
次章では、その第一歩として実践した**「1対1対話」**についてご紹介します。
金言>文化は命令では変えられない。
人が変わり、その行動が積み重なったとき、組織の文化は変わり始める。